益次郎の考察部屋

気になったアニメの妄想考察

「君の名は。」考察6

君の名は。秒速5センチメートル」のネタバレを含む、感想、妄想考察です。他人の意見に左右されたくない人は御注意下さい。とくに、「秒速5センチメートル」を見ていない方は、これを読んで後悔しても後の祭りです。

 

 

新海世界の秘密?

新海監督の作品は、なんとも言えない気持ちにさせられる。通常映画は主人公の空間に対するアクションで構成されている。家族や友人、社会が減ったり増えたりする動き(出会いと別れ)で物語る。しかし新海作品は、主人公の空間そのものが本人の意思に関係なく移り変わっていく。タイムリープして歴史を変えようが、その空間は変わり続ける。ストーリー展開と関係ない部分がいつの間にかわかってしまう。そして、それが示されるたび、空間の変化が染み渡る。人生で立ち止まった瞬間の、なんとも言えない郷愁のような感情がやってくる。それでも主人公は、ストーリに沿って動き続けていく。

彼の創り上げるフィルムの景色は、必要以上に光が、時が、動き、とめ絵になることを許さない。その空間は常に動き続け過ぎ去っていく。

 究極のすれ違い系(と、される)、「秒速5センチメートル」では、「時」により変化してきた主人公の空間の証として、初恋の人の結婚という、仕掛け爆弾が炸裂する。そして、彼女の空間もまた、当たり前のように変化していただけだと示される。その結果の帰結としてエンディングを迎える。仕掛けを作りすぎて、トラウマから逃れられないダメ男の話に見えるが、多分、そこが言いたかったのではないと思う。

君の名は。」では、奥寺先輩は結婚し、勅使河原と名取は婚約し、四葉はかつての瀧と三葉のよう、両親はもはや現れない。当たり前のように「時」は過ぎ去り、空間は変化していく。

しかし、瀧と三葉は8年の歳月が過ぎたにもかかわらず、お互いを探し続けている。運命、偶然、奇跡、理由はどうあれ出会えさえすれば、2人は新たな「時と空間」を紡いでいける。後は2人次第。(末広がりの八でハッピーかな)

 新海監督は「時」と「空間」の象徴としての「出会いと別れ」を構成し、「過ぎ去っていった空間」と、変化し続ける「今の空間」から、観客の感性を揺さぶる優れた作家である。